#006 香

中学生の頃です。好きになった同級生が女の子でした。

祖母に認知症が出はじめてから、「えぇ人おるんか？」「女は結婚してこそ一人前やで」といった言葉が聞かれるようになったこと。

期待に応えられないのはもちろんですが、それまでは言いたくても我慢してくれていたんだろうな、ということも含めて申し訳なく思いました。

カミングアウトしています。

母、友だち、学校の先生、職場・仕事関係者

中学校の国語の先生

先生には中3の頃。幼馴染みには高1の頃。

地元を出てからは友達などにサラッとカミングアウトすることが増えましたが、母に伝えられたのは30代になってからでした。

幼馴染み：セクシャリティが自分の全てではないにしても、私をより知ってもらうためにはやっぱり伝えておきたいな、と思って話しました。

母：10代の頃からずっと思案していたところに、新型コロナ。お互いにいつ何があるか分からないと痛感しました。当時は母の定年も近かったので、どんな反応であれ仕事で気を紛らわせやすい内に、と思って打ち明けました。

中学校の先生に伝えた時のことです。

LGBTについての作文を第三者目線で書いたところ、「(両親も来るような場で)発表してみて」と勧められました。
断る言い訳をあれこれ並べる中で、最終的に「実はこれ、私の話なんです…」とカミングアウトしました。

後日先生とやり取りした手紙は、今でも大切にしています。

この人になら、と思う相手に伝えるようにしてきました。

お互いの関係性はもちろんですが、特に昔は、LGBTに嫌悪感がなさそうか？というのも含めて見定めていたと思います。

母にカミングアウトした時のことです。
私は話すそばから涙してしまった一方で、母の第一声は「ふーん」でした。「相手がおるんやったら安心した。今は時代も変わっとるもんな」と。
私にとっては、とても程よい温度感でした。

その後のLINEで、「何があっても〇〇は〇〇やからな」と言ってもらえたのも忘れられません。

恋愛やパートナーの話を、置き換えや偽りなく話せるようになりました。
会話の中で変に気を遣う必要もなく、のびのび自然体でいられています。

幼馴染みに伝えてから10年後。私が、家族へのカミングアウトをどうしようかなと話していた時の言葉です。

「私が同じ立場だったら…」
「まず兄弟から言うかなぁ」

“大変だね、まぁ異性愛者の悩みとは違うけど”なんて他人事のような雰囲気は一切なく、一緒になって考えてくれたのが嬉しくて嬉しくて。

やっぱりこの人にカミングアウトして良かったなと思いました。

幸いなことにありません。

学生時代の先輩から、「そっかー、そっち系なんだ？」と言われたこと。

傷ついたというか勝手に落胆してしまいました。

異性愛者同士だって個人個人でそれぞれ違うのに、セクシャリティだけで無理やり線を引いてしまうこの表現には、今でも違和感があります。

良い意味で、大きな変化というのはありません。

変わらず接してくれている周りの人たちには感謝しきりです。

手紙やLGBTに関する本など、カミングアウトの後に一旦落ち着いて読んでもらえるものを添えてもいいかなと思います。

私が母に伝えた時は、言いたいことがその場できちんと言えるか分からなかったので、事前に手紙を用意していました。

田舎特有の保守的な空気もあり、職場ではごく一部にしか伝えていません。

色々な年代や考え方の人がいるので、同僚との距離感は今のままでも充分かなと思っています。